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【教学研究所】紀要『金光教学』第65号刊行のお知らせ
金光教教学研究所では毎年、研究の成果を紀要『金光教学』に発表してきている。
本年度刊行の第65号には、1編の研究論文のほか、同所設立70年を記念して開催された「第18回教学に関する交流集会」での大林浩治所長による基調講演「資料が本領を発揮するために ―「教団」という仕構えにおける文書館的役割―」の記録、また、昨年の「第63回教学研究会」における土居浩氏(ものつくり大学教授・教学研究所嘱託)の講演「民俗学と教学との間を民俗学的に考える」の記録などが掲載されている。
目次
【論文】 高 橋 昌 之
金光大神における “戦争” ―殺し、殺される事実への念慮を介して―
本論文は、戦争という極限状況下における信心の限界と可能性について、直信先覚、そして金光大神の経験に及んで批判的に検討を試み、「金光大神は平和を尊んだ」といった無意識の願望が投影された現在の教祖像や信心観に問いを投げかけている。
具体的には、まず、日清・日露戦時下における本教の主導者だった佐藤範雄や畑徳三郎らの経験とその言説を手がかりに、本教が国家の論理の正当性のために金光大神の教えを利用してきたことを、歴史に浮かぶ問題として明らかにしている。
その上で、金光大神にも目を向け、旧幕府側と新政府側との激しい争いが近隣にも及んだ玉島や庭瀬での騒動などを巡る「年譜帳」の記述から、金光大神自身においても、「御上」への帰属や忠義の対象が流動的であり、敵/味方の境界が揺らぐ現実を痛感させられていた様相に言及している。
そして、そうした不安定な情勢や戦況に翻弄され、助かりを求めて広前に訪れた人に「人夫」として従軍するよう勧めた経験が後に問題となっていく様相を描くなど、神との関わりや助かりの意味を厳しく問い直させられていた金光大神のありようを、今に生きるわれわれの求め続けていく営みに振り向け再考を迫るものとなっている。
金光教徒社にて購入可能です。
- 定価:550円(税込み)
- 編集・発行:金光教教学研究所