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【巻頭言】前教主金光平輝君一年祭を迎え奉りて

平成3年3月27日、四代金光様のみ跡を受け、教主にご就任くださり、令和3年3月26日、教主をご退任なされて3年3カ月余りを経た昨年7月21日に(かん)上がられた前教主金光平輝(のきみ)の一年祭をお迎えする。

かつて、五代金光様が「山中暦日(さんちゅうれきじつ)」と書かれた色紙を下さったことがある。これは、唐詩選に収められている太上隠者の作による「山中暦日無し」を語源とし、山の中にこもって暮らしていると、月日の経つのも忘れる、という意味である。五代金光様のこの書を拝すると、それ以上の「何か」を感じさせられるのである。

教祖直信が布教当初、教祖様に「しばらくの間、山に入って修行させていただきとうございますが、いかがなものでしょうか」とお伺いすると、「山に入ったら、どのようにして修行されますか?」「いったい、どんな山に入りますか?」と問われ、「なるべく深い山に入って、浮き世を逃れるつもりでおります」と答えると、教祖様が「それは結構である。しかし、何もわざわざそんな不自由な山に行かなくても、心の中に山をこしらえて、その中で修行をしたら、それでよい」とみ教えくださったという。

歴代金光様は、太陽のごとく本部広前に日々お出ましになり、お座り続けくださりながら、世間の助かりを、世界の平和をご祈念くださっている。それはまさに、心の中に山を作られてのご修行のお姿と頂ける。五代金光様も、教主として御用くださった30年間、心の中にどのように「山」をこしらえられ、築かれたその「山」の中で、どのようなご祈念を下さったのか、計り知れない。一見不自由に見えるそのご生活の中でも、金光様は何ものにもとらわれない自由な雰囲気をまとっておられた。教祖様の祈りから生まれた人助けの(くぼ)い場所である本部広前をご自身のかけがえのない居場所とされ、さらに「この場が大切なんじゃ」と仰りお結界での御用を何よりも大切にされ、生きがいにもされていた、在りし日のお姿がしのばれる。

五代金光様のみ祈りは、静かなる祈りであり、強き祈りであられたと感じさせていただいている。また、「天地ははやることなし。はやることなければ終わりもなし。天地日月の心になること肝要なり」と仰せになる、天地悠久の時の流れに身をゆだねられたみ祈りであったとも感じさせていただくのである。

五代金光様が御霊(みたま)の神となられ、そのみ祈りがご生前中にも増して力強く、私共の背中を押してくださり、足りないところを足してくださっているように思える。この大きすぎるご恩にわずかでも報いさせていただくべく、五代金光様の「山中暦日」のご信心に神倣い、ここからの御用の上におかげを(こうむ)ってまいりたい。

広前部長 金光清治

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